ワークエンゲージメントと雇用調整

ワークエンゲージメントと雇用調整

令和元年9月に発表された『労働経済白書』では、失業率は2.4%となっており雇用環境は確実に改善している状況であった。

その中では、企業側の立場に立って『我が国を取り巻く人手不足の現状について』の分析も詳細にされていた。企業側にとっての人手不足は、

中堅中小企業の正社員について多かった。

我が国を取り巻く人手不足の現状

従業員の立場にたった分析では、『ワークエンゲージメント』働きがいについての分析がされていた。

特にワークエンゲージメントの導入に関しては、中堅中小企業の3社の事例が紹介され、従業員の離職率低下に向けた経営側の危機感をもった取り組みが詳細に記述されている。

 

分析の記述から読み取れることは、コロナ禍で雇用が縮小もしくは失われる業界の従業員が、労働市場を通じてスムーズに人手不足の企業に移行していくためには、正社員でワークエンゲージメントの高い従業員になることが重要である。現時点で非正規雇用の人については、いずれ正社員になれるスキルやワークエンゲージメントを身につけてもらう環境が必要である。

業界に関しては、観光、航空運輸、飲食の業界から農業、情報通信、建設、医療、エネルギー産業、に移っていくことを後押しすればよいことになる。

 

また人手不足は中堅中小企業で発生しているので、そこで正社員として長期雇用されるためには、ある程度幅広い業務を柔軟にこなせることも求められる。

以上のことから、狭い業務を行ってきた正社員、非正規社員が幅広い業務担うための教育訓練を雇用保険の枠組みで活用しやすくすることが重要である。現在の雇用保険の教育訓練給付、能力開発事業は、専門職の長期間の訓練の給付は充実しているが、時代の変化に合わせて幅広い業務を新たなに担っていくための教育訓練給付は充実していない。

業界も変わって幅広い業務を担っていくためのスキルを身に着けるためには、専門職の訓練給付と同じくらいの金額と期間の給付が必要となる可能性もある。5兆円近くある過去の雇用保険の積立金を活用すれば可能な拠出であると思われる。

ワークエンゲージメントに関しては、それぞれの業界や経営改善の中の工夫に任せるだけでなく、政府としても後押しすることが大切である。今回の事例の紹介に留まらず、ESG投資の視点やコーポガバナンスコードへの反映などを通じて各企業の取り組みが推進されることが望ましい。

コロナ禍の何年かかかる雇用調整を通じて、日本の企業にワークエンゲージメントの高い正社員が増えると日本の未来は明るい。労働生産性は向上する。一人当たりのGDPでOECDトップ10入りも目指せるようになる。そうなれば、日本に進出しようとする外国企業は増える。日本企業の株式に長期投資しようと思う外国人の投資家も増える。そうなれば、長いトンネルになってしまった金融緩和後の出口戦略も少しだけ遠くに明かりが見えるようになる。

労働経済の分析概要

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