DXデジタルトランスフォーメーションが遅れてきた原因

DXデジタルトランスフォーメーションが遅れてきた原因

 

コロナ禍における政府からの自治体を通じた給付金の支給が遅れたことをきっかけに

日本の行政のデジタル化(DXデジタルトランスフォーメーション)の遅れが指摘されている。予算規模の制約、縦割行政、IT人材の不足が原因として取り上げられた。しかし、予算が十分に確保され、縦割行政が政治主導で解消されれば、数年後には行政のデジタル化が順調に推進されていくであろうか。また、IT人材の育成が進めば、先進的な取り組みをしているヨーロッパ諸国のように迅速に給付と教育が再開されるのであろうか。

 

こうした問題について参考になる国として、いち早く99%の行政手続を電子化したエストニアが紹介されることが多い。しかしその紹介では必ず、人口の規模の違いが指摘され日本の人口規模では同じように推進することは難しいとする考え方が併記される。エストニアの人口は日本の100分の1程度であるが、1億人の超える人口規模の日本では同じように国民のデータを一元管理して整備していくのは難しいとのことである。

 

1億人の100分の1は100万人である。日本の100万人以上の都市は12ほどある。政令指定都市は20近くある。その他に700以上の市があるがすべて100万人以下である。それの都市で給付が早かったという話はあまり聞かない。だから人口規模の問題でエストニアのような取り組みができないと諦めている人が多いとすれば、次の20年も行政のデジタルトランスフォーメーションは失敗する可能性が高い。だから今回は、自治体のシステムの統一の方針が示された。行政システムの発注開発まで自治体の『現場の判断に任せていた』のは誤りであったとの認識が示されたことになる。

 

『現場の判断に任せる』『現場力』という言葉は、日本の優れた経営力の源泉とする考え方がもてはやされた時期があるが、デジタル化の推進を遅らせる原因になった。これが行政の現場でも起こっていた。曖昧な『現場力』という言葉を多用し、現場のリーダー層に任せれば、上手くいくとする考え方は、根本的にITにかかる支出をコストと捉える。業務そのものとして捉える発想はない。ここが致命的になったため日本は、労働生産性が低迷した。表面的に上手くいっているようにみえた時期もあったが、実は多くは、権限を与えられたリーダー層がハラスメント行為を繰り返して短期目標達成だけに終わっているようである。

 

デジタルデータの整備によって数値の分析を迅速に行うことを机上論という言葉で一蹴して『現場力』が大事といっていた人たちは、今後どこの組織でもDXデジタルトランスフォーメーションでお荷物になる可能性が高い。だから発想を転換してもらうしかない。

 

ITをコストと捉える人たちは、デジタルデータは一度整備された後は同じような苦労をしなくて済むと考える人も多い。だからメンテナンス、更新、運用段階に入るとIT部門に過大なコスト削減求める。あるいはコスト増を認めない。分析データが意義あるものをアウトプットするためには、データが最新のものに常時更新されていることが前提になる。ここに人とお金をかけず、また、それに携わる人々の根気のいる仕事を評価しない組織風土が日本全体に蔓延している。おそらく今回のコロナ禍の給付金騒動の以前は行政機関でもそのようなことが起こっていたに違いない。どこの組織でもAIにより負担が軽減される段階になるまでは、極めて根気のいる作業が続くはずである。膨大な国民のデータ全体となる行政ではなお一層大変な作業が続く。コストは相当かかる。時間もかかるが、『今度また、時間が掛かり過ぎてまた20年たってしまいました』となると本当に日本は取り残される衰退国家になる。

 

コストが相当かかる部分に関しては、割り切って、高齢者などの社会的弱者の人もできる良い雇用が生まれたと発想を転換すれといいだろう。地味で根気がいるが、次世代に低コストの行政サービスを生み出すインフラである。明るい未来の日本を引き継ぐための大切な仕事である。

また、行政のデジタルトランスフォーメーションは国民全体でその進捗を監視していく必要あある。不正な課税逃れのできない仕組みも出来上がり、反社会的勢力、テロ支援者のマネーロンダリングにも効果を発揮することは間違いない。

デジタルトランスフォーメーションの先に安全安心医療デジタル国家があると信じて国民全体で協力するようになれば、日本の未来は明るい。

参考:日本経済新聞 2020年8月12日 中外時評 新常態 エストニアの教訓 :デジタル化、

日経新聞電子版 現場改革から 私見卓見 EY新日本有限責任監査法人シニアパートナー 2020/8/7 2:00[有料会員限定]

 

 

 

 

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