長期独裁政権

長期独裁政権

 

「欧州最後の独裁者」とも呼ばれる旧ソ連ベラルーシのルカシェンコ大統領は1994年から政権を維持している。今回8割近くの得票で当選した大統領選の後、その選挙の不正が指摘され辞任に追い込まれる危機になっている。強権的な統治に加え、経済の低迷や新型コロナウイルスへの対応の不備を国民に批判されていたことが原因である。

 

選挙結果を改ざんしていたかどうかの事実関係はまだわからない。しかし長期独裁政権は縦社会の組織によって維持強化され、報告が都合のいいように解釈され隠蔽、改ざんを招きやすい。日本の隣国でも同じような事が起き、コロナ禍の対応が遅れたと思われる。

 

日本でも長期政権下で公文書の改ざんや不適切な扱いが次々に明るみにでている。外交の経緯は、安全保障とも密接に関係し、失敗かどうかも含めて検証していくシステムが機能しないと将来世代の日本のリーダーも優位に交渉を進めることはできない。日々の業務に追われて記録の作成と保存を軽視する例が後を絶たないそうだが、政治家自身が利己的で身の保身に走っている状況では、真実が葬り去れてしまうリスクは常に存在する。政府首脳の会話や手紙、電子メールまでまとめて記録し、将来の情報開示をルールとしている欧米諸国などとの差はなお大きいらしい。

 

しかし日本には、政策判断に資する事実を詳細に分析して報告書を作成する法務省傘下の公安調査庁という組織があるらしい。予算は少ないが少数精鋭で、調査官のみの組織であるため縦社会の組織ではなく、当然、隠蔽や改ざんが常態化することはあり得ない。

 

この組織には地下鉄サリン事件の時にも機能したらしい。今度のコロナ禍の状況についてもある程度情報をつかんでいるのかもしれない。東京オリンピックが決まってから様々な形でテロ組織の情報を集め、安全に開催されるように何年も準備してきてくれているらしい。コロナ禍で来年の開催がどうなるかはまだ不透明であるが、日本の安全に大きく寄与する地味な公務員の組織が活躍していることを知って安心する人も多いと思われる。

長期政権下にあっても粛々と職務を全うしている国家公務員が存在することはありがたいことである。民主主義国家でよかったと思う。共産主義の独裁国家ではあり得ない。

 

公安調査庁のような組織は他にもあるかもしれない。いずれにしてもこのような組織の存在が書籍によって紹介され明らかになったことで日本の将来の安全保障に危惧を抱いていいた人にとって安心材料である。公安調査庁のような組織がしっかり機能して国民の代表の国会によって牽制されている民主主義国家であれば、日本の未来は明るい。

 

参考:公安調査庁(情報コミュニティの新たな近く変動、「最弱」の情報機関が

「最強」のインテリジェンス組織に変貌する時」・・・中公新書ラクレ

 

『外交を記録し、公開する』服部龍二著 2020/5/23付[有料会員限定]

(東京大学出版会・3900円)

 

日本経済新聞 ベラルーシ大統領 条件付きで権限移譲案 ヨーロッパ

2020/8/17 21:30 (2020/8/18 5:23更新)

 

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