メンテナンス売上高と創造的売上高

メンテナンス売上高と創造的売上高

 

財務省の法人企業統計によると、コロナ禍で全産業の4月~6月の売上高が前年同期比17.7%減の284兆6769億円となったらしい。

減少幅はリーマン・ショック後の2009年1月~3月期に次ぐ過去2番目の大きさで、金額でも1990年4月~6月期以来の低さで30年前の水準まで戻ったとのことである。

8月に公表した国内総生産(GDP)の速報値からの下振れは避けられない状況である。7月~9月は最悪期を脱し、回復するとの見方が多い。

資金が逼迫してきているため将来の売上高のための設備投資も急速に減っていることは気になる材料である。

 

こうした統計数字で公表される売上高では、経済の実態と本質的問題解決に必要な情報が得られるとは限らない。

なぜならば、国内の総需要の奪いの結果の売上高と新しい産業で新しい雇用を生み出したゼロからの売上高が混在しているからである。

企業の会計では事業部別の売上高が有価証券報告書等で分けて開示されている企業もあることはある。

 

しかし、それが単純なM&Aによる足し算の結果の売上高とシナジーによって生み出された新事業の売上高を分けて開示することまでは求めれていない。

M&Aでトータルの雇用が維持されやすい部分はあるものの、新しい創造的な売上高が生まれているかどうかは現在の企業会計で開示される売上高からは読み取ることはできない。

海外に企業が進出し場合の売上高についても開示される情報が不十分と感じられる場合が多い。

サマリーを読んで理解できる場合もあるが、自動車が利用されていないところで自動車を輸出して、

新しい創造的な自動車の売上高が上がったのか、既存の自動車産業のあるところで、少しだけ趣や価格帯の違う自動車を販売して、既存の自動車産業の売上高と雇用を奪って計上した売上高かは判別がつかない。

 

これらの売上高は本来、前者を『メンテナンス売上高』、後者を『創造的売上高』もしくは『ゼロイチ売上高』として区別してステークホルダーに開示すべきものではないであろうか。

『国内全体のGDPの拡大へ貢献する売上高』、または『世界のGDP拡大に貢献する売上高』こそが、今コロナ禍で民間企業に求められているのではないであろうか。

日本企業に限らず、今までに無い創造的売上高を計上することよりも 競業他社との国内GDPの奪い合いの結果の売上高増加もしくは世界全体のGDPの奪い合いの結果としての売上高増加に注力しすぎているのではないだろうか。

 

これらの問題を是正するためには、企業会計上で一緒になっている2つの売上高を注記表示で補足説明する制度にすることにより解決できるはずである。また、創造的売上高にかかる法人税率を大幅に下げることによっても是正できる可能性もある。

 

今は自由貿易による世界全体の繁栄が享受できなくなりつつある状況であるが、

いつの日か必ず世界貿易機関(WTO・本部ジュネーブ)や国連の各機関が本来の機能と役割を取り戻す日がくると信じたい。

重商主義や自国優先保護貿易主義の先には大きな国際紛争が待ち受けている可能性が高い。それを回避し豊かな未来を次の世代に残していくためには、

今、民間企業こそ、新しい『創造的売上高』を生み出し、新しい雇用を創出するよう努力すべきである。民間企業が全体のGDPへの貢献と雇用創出を考える経営に変わっていけば、日本の未来は明るい。世界の未来も明るい。そのことが相互不信からの軍拡から相互信頼からの軍縮の流れに変えるきっかけをつくことができる。

国際的な紛争が減り、自由貿易による相互の国々の豊かさが実現できれば、日本は現行憲法の前文の第2段落、第3段落の役割を果たすことができる。そうなれば日本の未来は明るい。

 

日本国憲法前文第2段落、第3段落抜粋

 

『日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和の内に生存する権利を有することを確認する。』

 

『われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけて、全力をあげて崇高な理想と目的を達成することを誓う。』

 

参考:日本経済新聞 2020年9月1日 売上高30年ぶり低水準、全産業4~6月 車・飲食など急減

 

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