最低賃金は25年後1,700円を目指す(2021年8月12日 参考追加)
最低賃金は、残念ながら2020年の引き上げは見送られた。(2021年は引上げ実施)コロナ禍で休業5月423万人、非正規社員の雇用減が大きい。
契約更新の見送りなど雇用調整が進んでいる。こうした中でも最大限の雇用維持に努力するための実質凍結維持であったと信じたい。
次々と感染第2波と思わるデータが発表され先が見えない状況であっても、
来年度以降の最低賃金については、最低賃金1,000円超え後の次の中長期ビジョンが討議されるべきである。
コロナ禍のような危機の時には、富裕層は消費を減らし貯蓄を増やすので経済はデフレスパイラルになりやすくなる。
一方、最低賃金付近で働く人々は、消費に回すので賃金が上昇した分だけ消費の回復拡大が期待できる。従って最低賃金を引き上げを継続することは、
名目GDPの回復もしくはその後の拡大に貢献する。
しかし、来年度以降、コロナ禍の雇用調整状況はどのようになっているか、まだ見通しは立っていない。
大手企業の倒産による雇用喪失、新卒一括採用枠の縮小、廃止により
就業機会を得られない労働者は増えていく可能性すらある。
そうなるとパート、アルバイトの非正規雇用の最低賃金付近で仕事をする人は現状よりも増える可能性がある。
完全失業者が緩やかに増える環境では、一時的に非正規雇用を選択して最低賃金付近で働く人は多くなる。
これは、1990年代半ばからの就職氷河期でもみられた。
リーマンショックの2008年からの数年間も同様である。ニューノーマル新常態においては10年毎にこういった雇用調整の環境が訪れると覚悟した方がよいかもしれない。
だからこそ、『最低賃金は毎年数パーセントは上昇する、3パーセントは上昇する』という社会的合意が大切である。
仮に今後25年間のうち20年間以上で最低賃金が平均3%増加した場合を考えてみる。
20年間
901円×(1.03)×(1.03)・・・・・・・・・・・・×(1.03)=1,627円 となる。
21年間
901円×(1.03)×(1.03)・・・・・・・・・・・・×(1.03)=1,676円 となる。
22年間
901円×(1.03)×(1.03)・・・・・・・・・・・・×(1.03)=1,726円 となる。
3時間、働くと約5,000円の収入が得られることになる。
高齢者でも週数回可能な就労機会の提供になる。
仮に現在45歳の就職氷河期世代の人が正社員の職を得られて25年間厚生年金保険料を払った場合でも、給与水準によっては余裕のある老後(70歳以降)生活は難しい可能性がある。
なぜならば、非正規社員でも厚生年金加入者になれる制度になってまだ数年しかたっていないからである。
すなわち 就職氷河期世代は、厚生年金保険料を払っている期間が極端に少ない人が多いのである。
70歳以降、健康を維持し、パートやアルバイトの仕事があれば、働くことになるだろう。
その場合25年後の社会全体の最低賃金が1,700円であれば、こころ強いはずである。
70歳以降、更に5年頑張って年金もらわないで、75歳からの年金受取を選択する人も増える可能性がある。
現在の40歳代、50歳代の人の多くが、70歳、75歳まで就労を選択できるようになると日本の未来は明るい。全世代安心社会保障の小さな幸せの国になる。
大人をみて失望す若者も少なくなる。最低賃金の継続的上昇は、目の前の非正規労働者のためだけでなく、将来の年金受取額がなんらかの事情で少なくなっている人に安心感も与える。
いつでもだれでも3時間働けば、5,000円程度がもらえる社会の到来で日本の未来は明るくなる。
日本経済新聞 2020年11月3日 朝刊 特集31面 受賞5作品を読む(第63回日経経済図書文化賞) 日本のセーフティーネット格差 ・・社会保険 改革の方向性示す
日本経済新聞 2020年7月1日 朝刊 経済5面 完全失業者、緩やかに増 休業5月423万人、失職拡大の恐れ、非正規の雇用減大きく
日本経済新聞 [社説]最低賃金を無理なく上げる基盤づくりを 働き方改革 新型コロナ 社説 2020/7/23 19:05[有料会員限定]
参考:「強い日本」をつくる論理思考 ビジネス社 7 中小企業の生産性はもっと上げられる
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