全世代型社会保障と全労働者安心消費社会

全世代型社会保障と全労働者安心消費社会
6月の国会閉幕の後、全世代型社会保障会議の中間報告が発表された。
省庁がつくる膨大で誰も読み切れないと思われる資料と違い9ページで示される概略は読みやすいものである。
いくつか、具体的な課題解決の道筋が見えない部分もあるが、概ね、
今後日本が目指す方向、社会保障の在り方が示されている。
全世代型社会保障により、安心消費社会を実現するため、厚生年金の適用を拡大する。
同時に、独占禁止法によりフリーランスを大手企業の買いたたきから保護し、ホワイト企業とフリーランスにより構成される経済社会を想定していると思われる。
日本の労働者の潜在的な能力を発揮されるためには、国が主導してホワイト企業と副業、専業フリーランスによる協働経済が理想である。
そうなれば、国際的に低い水準に低迷している労働生産性も向上に転じると思われる。
一方、残念ながら、道筋の見えない記述のひとつは、『新型コロナウイルス感染症の感染拡大により社会保障の新たな課題、
セーフティネットとしての重要性』の『経済情勢の悪化に伴う雇用・生活への支援』についてである。
一時的な助成金の話ばかりが目立ち、実際に雇用喪失した部分の雇用創出について、具体的な記述が少ない。
一部福祉等の業種へのマッチングという記述がみられることぐらいである。休業者が増え、非正規雇用者への雇い止めが生じつつある中、飲食や観光からの人材がすべて福祉等の業種へ移っていくとは考え難い。従来より人手不足が深刻化している業界に雇用の受け皿になること要請していく政府の役割は重要である。
さらに新卒採用の枠が減る中、かつての就職氷河期世代を再び生み出さないようにする事が重要である。
学生への相談体制の強化と同時に当時よりは仕事のスキルはオンライン学習等で身につけやすい環境になっているので、
大学やハローワークを通じてスクールのオンライン教材を格安もしくは無料で提供していくことも検討されるべきだろう。
また、全国に500か所以上あるハローワークに隣接する宿泊施設を長期間借り切り、長期の職業訓練を集中して受講できる環境を用意することも重要である。
観光客の減っているホテル旅館業の支援にもつながる可能性もある。
住居確保給付金や民間団体等によるアパート等への入居・定着支援等により住まいの支援を強化は、その後もよいと思われる。
その前に、よい住宅環境が望める稼ぐ力をつけてあげることが重要である。
昨年まで失業率が低かったことにより、雇用保険の積立金は年内は枯渇しないレベルにあるはずである。
教育訓練給付をはじめ雇用安定化事業及び能力開発事業を効果的に活用して、
雇用不安に陥っている労働者に安心感を与える施策の実行が急がれる。
雇用不安が早く払拭されれば、日本の未来は明るい。さらに感染第2波、第3波に適切に対応できば、GDPの回復も早くなる可能性がある。
全世代型社会保障と全労働者安心消費社会につながる未来がみえてくれば、日本人の労働生産性はまだまだ向上する可能性がある。
参考:日本経済新聞 2020年11月27日 朝刊19面 マーケット総合2
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参考:日本経済新聞 2020年11月27日 朝刊19面 マーケット総合2
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