輸入購買力を上げることで消費を刺激する。

外需主導の経済成長の頃の為替政策が内需主導の経済成長を妨げている。これまで失われた30年の間、常にプラザ合意以降の行き過ぎた円高基調を是正するための為替政策がとられてきた。結果として消費者の利益よりも輸出企業の雇用維持、保護政策が優先されてきたといえる。円安誘導の結果として消費者は貿易自由化による輸入購買力を十分に享受できていない。日本は、まだ先進国(ファクトフルネス-日経BPで定義されているレベル4の高所得国)に属している。本来 開発途上国(同書-レベル2 レベル1の中所得国、低所得国)への、輸出は限定的に行うべきである。輸入購買力によって開発途上国の産業育成(輸出志向工業化政策-渡辺利夫-東洋経済)に貢献することがODA(政府開発援助)の目的とも整合する。現在はWTO(世界貿易機関)が十分に機能しなくなり保護主義経済、ブロック化経済の進行、先進国(レベル4の国)による通貨安競争の時代になっているが、いずれその機能を回復する時代が来た時に備え、円高への日本経済の耐性を強めておく必要がある。先進国(レベル4の国)による通貨安競争は世界全体(GDP80兆米ドル)の厚生最大化に貢献しているとは思えない。富の創造と富の略奪は区別する必要がある。複雑化する21世紀の世界には共同行動が必要である。(プログレッシブキャピタリズム-ジョセフ・E・スティグリッツ-東洋経済)

高所得国(レベル4)が世界の貿易で果たす役割は新産業分野の創造(第4次産業、第5次産業)と低所得国(レベル1)の国への生活インフラ支援(第一次産業)である。また中所得国(レベル2 レベル3)の国からの輸入による産業育成支援(第2次、第3次産業)も重要な役割である。日本は、プラットフォーム、フィンテック、などの新産業分野の創造においては、目立った貢献はできていないが、生活インフラ支援(第一次産業)、産業育成支援(第2次、第3次産業)では、地味ながら貢献はしていると思われる。世界全体の厚生最大化において高所得国(レベル4の国)のいずれかの国が役割を担うべきものである。日本は内需を拡大させながら、低所得国(レベル1)に技術移転、支援を行い、中所得国(レベル2 レベル3)に課題先進国として解決の道筋を責務がある。通貨安や税率で自国のみの厚生最大化を図る経済政策はとってはならない。

参考 開発経済学入門【第3版】 東洋経済新聞社 プログレッシブキャピタリズム 東洋経済  ファクトフルネス 日経BP社

参考:日本経済新聞 2021年7月10日朝刊 5面 法人課税閣僚合意めざす G20財務相会議

参考:日本経済新聞 2021年4月24日朝刊 15面 大機小機

参考:日本経済新聞 2021年4月24日朝刊 17面 マネーの学び 変わる「円安・株高」の常識 米金利や貿易構造に変化