第2のセーフティーネットの柔軟な活用
(2022年1月8日参考追加)
コロナ禍の状況で多くの企業は
雇用維持に努力している。
政府自治体も持続化給付金などで
対応を継続している。
しかし大方の見方で回復まで
3年はかかるとされる景気回復の間,
財源が確保できる訳ではない。
東日本大震災の復興税のような税を
考えるべき時であろう。
名目GDP550兆円までの回復を
目的とした『回復税』とすればよい。
その上で、雇用が維持できなくなってきた
業界の再編やセーフティーネットの
周知に努める事が大切である。
現在の日本では失業に伴う生活の困窮に関して、
3つのセーフティーネットが用意されている。
一つは、
社会保険制度、労働保険制度による保険給付である。
老齢による失業、退職には年金制度があり、
それ以外の失業に対しては、雇用保険による失業等給付がある。
今も昔の名前の『失業保険』の基本手当受給と呼ばれることが多い。
国民全体の認知度も高い。
社会保険労務士が4万人以上登録されており、
手続をサポートしてくれるので、
制度を知らないことにより
『利用できる人、利用すべき人が利用していない状況』は
あまり発生していないはずである。
第1のセーフティーネットと呼ばれることが多い。
もう一つは、生活困窮者自立支援制度である。
近年の社会構造の変化に対応するため
平成27年(2015年)に成立した
生活困窮者自立支援法に基づく。
この法律で「生活困窮者」とは、
「現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することが
できなくなるおそれのある者」とされている。
現在、生活保護は受給していないが、
生活保護に至る可能性のある人で、
支援によって自立が見込まれる人を支援対象としている。
さまざまな自立支援を行う制度であるが、
主に5つの支援事業を行っている。
(自立相談支援事業、就労準備支援事業、
住居確保給付金の支給、家計相談支援事業、子供の学習支援事業等)
福祉事務所を設置する自治体が実施主体となっており、
自立相談支援事業と住居確保給付金の支給は
必須事業として各自治体は取り組まなければならない。
平成30年の全国の実績で237,665人の新規相談受付がある。
最後の一つは生活保護制度である。
資産や能力等全てを活用しても、
なお困窮する人に困窮の程度に応じて必要な保護を行い、
健康で文化的な最低限度の生活を保障し、
自立を助長する制度である。
『失業保険』同様に国民全体の認知度も高い。
制度ができて7年しか経過していないため、
第2のセーフティーネットの
生活困窮者自立支援制度がまだ十分に国民に認知されていない。
一般就労するまでのステップとして
『就労準備支援事業』が非雇用型と雇用支援型で
用意されているところが特徴的な制度である。
すぐに一般企業で働くことは難しい方で
長期の引きこもり期間のある方などが対象となっている。
自治体が民間企業に就労機会の提供を目的とした
就労訓練事業を行うことも想定されている。
コロナ禍で発生する失業については、
主に 第1のセーフティーネットの労働保険制度、
第3のセーフティーネットの生活保護制度での対応となるだろう。
第一のセーフティーネットの受給期間だけでは
家賃の補助がないため地方に移住する再就職は促進されにくい。
第2のセーフティーネットの住居確保給付金の支給の制度と
組み合わせて柔軟な対応を可能にすれば、
地方への再就職が促進されやすくなる可能性もある。
これらの制度の認知度の向上と柔軟な運用により、
雇用不安がより早く解消されることが望ましい。
参考:日本経済新聞2022年 1月8日
朝刊5面 雇用保険 進まぬ国負担増 ・・料率上げ・10月から
参考:日本経済新聞 11月17日 19面 大機小機 コロナ下の企業・家庭内失業
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