ベーシックインカムと日本国憲法

未来への情熱

ベーシックインカムと日本国憲法

コロナ禍で雇用の不安を抱える人が増える中、ベーシックインカムの必要性を論ずる人が増えてきている。財源の問題が解決できれば、日本国憲法上の『生存権』(25条1項)の具体的な実現として位置付けることは可能と思われる。憲法制定当初の具体化するための法律として ①生活保護法②国民年金法③その他最低賃金法が想定されていたようである。

生活保護法では、『国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。』と目的条文が置かれている。

また、日本国憲法第27条で『すべての国民は勤労の権利を有し、義務を負う』としていることから、国は、雇用不安を抱える人、失業をした人に『勤労の権利』を保障する必要がある。そのために国の『完全雇用』の努力義務を定めた旧雇用対策法(現在は労働施策総合推進法)があった。この法律を『生存権の実現ための勤労の権利の保障』と位置付ければよい。勤労の権利が保障できない場合に、べーシックインカム(最低所得保障)を受け取る権利が国民に生じることになる。

ナショナルミニマムに関する議論の参考資料

政府は経済の不況の時の不作為によって、失業者の増加を放置し、国民の勤労の権利を奪い続けることはできない。労働施策総合推進法によって労働者の雇用の安定及び職業生活の充実が義務付けられいる。

また、すべての国民が健康で文化的な生活を営むためには、勤労の権利の保障と同時に

すべての国民がひとしく教育を受け続ける必要がある。少なくとも義務教育においては保護者と国に義務がある。

パソコンによるオンライン教育は、これ以上公立学校等で普及が遅くなることは許されない。10年先の労働生産性の低下に直結する。感染拡大防止と経済の両立と同時に、感染拡大防止と教育環境の両立もずっと継続する課題として取り組むべきである。

コロナ禍により、行政のデジタルトランスフォーメーションをはじめ日本の長年の課題が一気に洗い出されている面もある。在宅勤務の普及もコロナ禍で推進された。教育のオンライン化が進み、教育の機会均等が確保されれば、日本の未来は決して暗いことばかりではない。格差の広がりをこれ以上、欧米諸国のように放置しない方向に進めば日本の未来は明るい。

第25条

第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

第26条

第1項 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

第2項 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。  義務教育は、これを無償とする。

第27条

すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。

2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。

3 児童は、これを酷使してはならない。

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