ジョブカードによる労働生産性向上

ジョブカードによる労働生産性向上
新型コロナウイルスの流行に伴う在宅勤務の拡大で、中小企業の正社員にも職務の明確化が求められるようになる。この動きは、10年以上前に厚生労働省がジョブカードの導入という形で国会にも提案されていた。しかし特別会計の仕分け作業で効果疑問として廃止の方向性が固まった。
今再び見直されている理由にひとつは、在職者、求職者、学生、企業にとって有意義な内容であることが認識されはじめたからである。また世界で遅れをとっている日本企業の労働生産性の向上に欠かせないからである。
「ジョブ・カード制度総合サイト」やの都道府県労働局またはキャリア形成サポートセンターで書き方や利用の仕方の支援が受けられるようになっている。
https://jobcard.mhlw.go.jp/job_card.html
概要・・・在職労働者の方等がジョブ・カードを活用する主なメリット
・・・・求職者の方がジョブ・カードを活用する主なメリット
・・・・・学生の方がジョブ・カードを活用する主なメリット
・・・・・企業の方がジョブ・カードを活用する主なメリット
10年前はリーマンショックによる派遣切りの報道が盛んな時であったため、企業側に都合のいいように利用される懸念ばかりが先行してしまった。また記入事項が詳細すぎたことも普及を遅らせた。この部分に関しては現在はキャリアコンサルタントが専門家としてサポートする環境が整ってきている。(従来の転職仲介手数料で自社の利益だけを求める転職支援会社はネットの情報により選別され衰退の方向にある。)
兼業、副業、リゾート地でのワーケーションの普及は、労働者への信頼と職務の明確化によって後押しされることが理想である。社内の正社員と経営者によって行われる業務と外部への業務委託によって効率的に行われる業務の分化が進んでいけば、フリーランスにとっても企業にとっても効率的に仕事をすすめられる環境が整う。そうなれば日本の労働生産性も改善する。
一方、『職務の明確化とジョブカード』に記述がないものとして経営者が労働者に求める『成果と期日』がある。労働者に求めれる『成果と期日』がはっきりしていれば、リゾート地でのワーケーションの普及や地方への移住も進む可能性が高い。
そうなると経営者が担うオペレーション業務は『労働者への発注と期日管理』ということになる。従来は『マネジメント』といっていた部分がより詳細な表現になることで、労働者も働きやすくなり労働生産性は向上する。おそらくOECD諸国で日本より労働生産性の高い国の企業では、当然に行われ認識されていることなのかもしれない。
危機の時の『チームワーク』と平時の『チームワーク』をわけて考えることも重要である。危機の時の『チームワーク』は経営者のリーダーシップによる。平時の自発的な『チームワーク』は社員の内在的なモチベーション、企業理念への共感による。金銭的報酬とは切り離して使命感によって業務を遂行できる人材のみが正社員、経営者となる時代が来るのかもしれない。労働生産性の高い国はこうした労働者と経営者が多いということなる。
働き方改革を推進し労働生産性の向上していけば日本の未来は明るい。
ジョブカード学生用
参考:日本経済新聞 2020年11月27日 朝刊19面 マーケット総合2
大機小機 「現役50年時代」どう向き合う
参考[社説]柔軟な働き方広げ成長力を高めよ 働き方改革 新型コロナ 社説 2020/8/18 19:00[有料会員限定]