メンテナンス売上高と創造的売上高

未来への情熱

メンテナンス売上高と創造的売上高

(2022年2月9日参考追加)

 

財務省の法人企業統計によると、

コロナ禍で全産業の4月~6月の売上高が

前年同期比17.7%減の284兆6769億円となった。

減少幅はリーマン・ショック後の

2009年1月~3月期に次ぐ過去2番目の大きさで、

金額でも1990年4月~6月期以来の低さで

30年前の水準まで戻ったとのことである。

8月に公表した国内総生産(GDP)の速報値からの

下振れは避けられない状況である。

7月~9月は最悪期を脱し、回復するとの見方が多い。

資金が逼迫してきているため将来の売上高のための

設備投資も急速に減っていることは気になる材料である。

 

 

こうした統計数字で公表される売上高では、

経済の実態と本質的問題解決に必要な情報が

得られるとは限らない。

なぜならば、国内の総需要の奪いの結果の

売上高と新しい産業で

新しい雇用を生み出したゼロからの

売上高が混在しているからである。

企業の会計では事業部別の売上高が有価証券報告書等で分けて

開示されている企業もあることはある。

 

 

しかし、それが単純なM&Aによる

足し算の結果の売上高とシナジーによって生み出された

新事業の売上高を分けて開示することまでは求めれていない。

M&Aでトータルの雇用が維持されやすい部分はあるものの、

新しい創造的な売上高が生まれているかどうかは

現在の企業会計で開示される売上高からは読み取ることはできない。

海外に企業が進出し場合の売上高についても

開示される情報が不十分と感じられる場合が多い。

サマリーを読んで理解できる場合もあるが、

自動車が利用されていないところで自動車を輸出して、

新しい創造的な自動車の売上高が上がったのか、

既存の自動車産業のあるところで、

少しだけ趣や価格帯の違う自動車を販売して、

既存の自動車産業の売上高と雇用を奪って

計上した売上高かは判別がつかない。

 

 

 

これらの売上高は本来、前者を『メンテナンス売上高』、

後者を『創造的売上高』もしくは『ゼロイチ売上高』として区別して

ステークホルダーに開示すべきものではないであろうか。

『国内全体のGDPの拡大へ貢献する売上高』、

または『世界のGDP拡大に貢献する売上高』こそが、

今コロナ禍で民間企業に求められているのではないであろうか。

日本企業は特に、今までに無い創造的売上高を計上することよりも

競業他社との国内GDPの奪い合いの結果の売上高増加もしくは

世界全体のGDPの奪い合いの結果としての

売上高増加に注力しすぎているのではないだろうか。

 

 

これらの問題を是正するためには、

企業会計上で一緒になっている2つの売上高を

注記表示で補足説明する制度に

することにより解決できるはずである。

また、創造的売上高にかかる法人税率を

大幅に下げることによっても是正できる可能性もある。

 

 

今は自由貿易による世界全体の繁栄が

享受できなくなりつつある状況であるが、

いつの日か必ず世界貿易機関(WTO・本部ジュネーブ)や

国連の各機関が本来の機能と役割を取り戻す日がくると信じたい。

重商主義や自国優先保護貿易主義の先には

大きな国際紛争が待ち受けている可能性が高い。

それを回避し豊かな未来を次の世代に残していくためには、

今、民間企業こそ、新しい『創造的売上高』を生み出し、

新しい雇用を創出するよう努力すべきである。

民間企業が全体のGDPへの貢献と

雇用創出を考える経営に変わっていけば、

日本の未来は明るい。世界の未来も明るい。

 

そのことが相互不信からの軍拡から

相互信頼からの軍縮の流れに変える

きっかけをつくことができる。

国際的な紛争が減り、

自由貿易による相互の国々の豊かさが実現できれば、

日本は現行憲法の前文の

第2段落、第3段落の役割を果たすことができる。

そうなれば日本の未来は明るい。

 

日本国憲法前文第2段落、第3段落抜粋

 

『日本国民は、恒久の平和を念願し、

人間相互の関係を支配する崇高な理想を

深く自覚するのであって、

平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、

われらの安全と生存を保持しようと決意した。

われらは平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を

地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、

名誉ある地位を占めたいと思う。われらは全世界の国民が、

ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和の内に生存する権利を

有することを確認する。』

 

 

『われらは、いずれの国家も、

自国のことのみに専念して

他国を無視してはならないのであって、

政治道徳の法則は、普遍的なものであり、

この法則に従うことは、自国の主権を維持し、

他国と対等関係に立とうとする

各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけて、

全力をあげて崇高な理想と目的を

達成することを誓う。』

 

 

参考:日本経済新聞 2022年2月9日 

朝刊1面 世界分かつ 米中国 

国・企業・実力を問う

ネットも分断 宇宙資源を争奪 

朝刊7面 中外時評

「新資本主義」は世界に届くか

 

 

参考:日本経済新聞 2022年1月14日 

朝刊3面 RCEP「好影響」日本5割 

日中韓経営者アンケート 中韓4割台、恩恵で温度差

参考:日本経済新聞 2020年11月16日 

朝刊1面 アジアに巨大経済圏 RCEP15か国署名

朝刊2面 社説 RCEPを日本主導で大きく育てたい

参考:両極化時代のデジタル経営 ポストコロナを生き抜くビジネスの未来図 

   デロイト トーマツ グループ  ダイヤモンド社

第1章 両極化の時代が迫る経営モデルの大転換 

    社会課題解決を事業機会と捉える戦略的発想で立ち遅れ

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