コロナ禍の職業転換給付金

未来への情熱

コロナ禍の職業転換給付金(2022年1月8日 参考追加)

新型コロナウィルス対策の中小企業、

個人事業主向けの持続化給付金の追加の

積み増し(9,150億円)が決定した。

しかし労働者へ直接の給付は、充実していない。

おそらく、雇用保険法の失業等給付と雇用安定事業、

能力開発事業が充実していると思われているからだろう。

しかしこれらは『職業を転換すること』を前提

としていない給付金であるため、

需要喪失により実質的に雇用が喪失しつつある現状では

使いづらいものになっている。

一方、令和二年三月三十一日公布(令和二年法律第十四号)改正の

『労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び

職業生活の充実等に関する法律』(以下、労働施策総合推進法)では、

第3条で基本的理念が示されている。

基本的理念は『労働者は、その職業生活の設計が適切に行われ、

並びにその設計に即した能力の開発及び向上並びに転職に

当たつての円滑な再就職の促進その他の措置が効果的に

実施されることにより、職業生活の全期間を通じて、

その職業の安定が図られるように配慮されるものとする。』となっている。

これは平成30年7月に改正される前までの雇用対策法と全く同じである。

すなわち、労働者は、

転職に当たっての円滑な再就職の促進、

職業生活の全期間を通じて、

その職業の安定が図られるように

配慮されることになっている。

これを受けて、労働施策総合推進法の

第5章に『職業転換給付金』が規定されている。

抜粋

第五章 職業転換給付金

(職業転換給付金の支給)

第十八条 国及び都道府県は、

他の法令の規定に基づき支給するものを除くほか、

労働者がその有する能力に適合する職業に就くことを容易にし、

及び促進するため、求職者その他の労働者又は事業主に対して

、政令で定める区分に従い、

次に掲げる給付金(以下「職業転換給付金」という。)を

支給することができる。

一 求職者の求職活動の促進とその生活の安定とを図るための給付金

二 求職者の知識及び技能の習得を容易にするための給付金

三 広範囲の地域にわたる求職活動又は求職活動を容易に

するための役務の利用に要する費用に充てるための給付金

四 就職又は知識若しくは技能の習得をするための移転に要する費用

に充てるための給付金

五 求職者を作業環境に適応させる訓練を行うことを促進するための給付金

六 前各号に掲げるもののほか、政令で定める給付金

(支給基準等)

第十九条 職業転換給付金の支給に関し必要な基準は、厚生労働省令で定める。

2 前項の基準の作成及びその運用に当たつては、

他の法令の規定に基づき支給する給付金でこれに

類するものとの関連を十分に参酌し、

求職者の雇用が促進されるように配慮しなければならない。

(国の負担)

第二十条 国は、政令で定めるところにより、

都道府県が支給する職業転換給付金に要する費用の一部を負担する。

2年前に国会でつくられたこの法律を

活用する議論が活発でないのはなぜであろうか。

名前を『雇用対策法』から長い

意味不明の法律『労働施策総合推進法』に

変えてしまったことが原因である。

厚生労働省のホームページで検索を

かけても今回のいろいろな給付金の中で出てこない。

また今回の第2波で感染拡大は収まるとみているから、

労働者それほど職を転換しなくて済む

と思っているからなのだろうか。

いずれにしても『旧雇用対策法』に基づき、

さまざまな形で労働市場に政府と自治体が介入して

労働者に安心感を与えることが大切である。

本当は名前も昔のままに戻して

『雇用対策法』にした方がよい。

みんなにわかり易くなり活用される。

日本の労働者は勤労の倫理観が高いので、

『職業転換給付金』が支給されれば、

技能を磨くことに活用し、

新しい職業に移っていく。

安心感が労働者に広がれば、

消費の落ち込も最小限に食い止めることができる。

そうなれば日本の労働生産性も徐々に上がり、

日本の未来は明るい。

参考:日本経済新聞 2022年1月8日

朝刊5面 雇用保険 進まぬ国負担増

参考:日本経済新聞 11月17日

朝刊19面 大機小機 コロナ下の企業・家庭内失業

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