最低所得補償のための税金

未来への情熱

最低所得補償のための税金

最低所得補償の議論が盛んになってきている。特にコロナ禍で職を失う可能性が高くなっている人が増えているからだろう。

一月当たり5万円を全国民に支給すると約70兆円のあらたな財源が必要になるとのことだ。

現在の日本の年間の税収は約60兆円で推移しているからそれ以上の財源が必要になる。

毎年70兆円の国債すればよいと主張する人はさすがにいないだろう。

 

そうなると税収を上げる工夫をする必要がある。令和2年の当初予算案での歳入のうちの税収は、所得税20兆円 消費税22兆円 法人税12兆円 その他の税金(酒税、たばこ税、相続税等)10兆円で合計64兆円ある。概ねすべての税金が倍以上の税率にならないと財源が確保できないことになる。所得税の税率の中央値の平均で70%程度、消費税20%、法人税実効税率80%ということになる。あまり実現しそうな数字ではない。一方、所得や資産の保有額を正確に把握して、一部の低所得層のみに絞って最低所得補償を行うという意見もあるようだが、線引きは相当難しいようなので、基本は全国民例外なく支給が可能かどうかという議論の仕方をすることになりそうだ。

消費税は民間消費が現在約300兆円で推移している中での税収である。

税率が現在の10%のままでも民間消費が600兆円なら消費税収44兆円、民間消費が900兆円になれば、約66兆円ということになる。

全国民所得補償毎年70兆円まで後のこり4兆円といことになる。

約1800兆円ある過大な家計貯蓄の三分の1の600兆円が消費に回れば、民間消費は900兆円になる。

企業の法人税の引き上げは、税率がどのくらいまでなら国内に留まって雇用を守ってくれるのか、

を考慮することが重要である。所得税の引き上げはキャピタルフライトを起こさないように慎重に検討されるべきである。

 

憲法の生存権についても解釈の確認が必要になってくるだろう。

第25条 生存権

第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。(出典 日本国憲法)

 

さらに検討されるべきことは、旧共産圏の労働者の多くが国家が崩壊した後どのような状況になったかをよく国民によく考えてもらうことだろう。一度、働かないでよい状況になると人間はどうなるのか、多額の退職金や年金をもらい始めて全く働かなくなった人たちの10年後、20年後が本当に幸せそうかよく調べる必要がある。外資系金融の世界で活用して早い引退をした人が牧場経営で幸せそうかどうかも調べてみるとよい。ヨーロッパで議論が盛んになってきたから日本でもと簡単に考えず、日本人の特性としての勤勉さを多くの人が長期的に維持できるかを検討すべきだろう。

知る限りでは、農業の70歳代80歳代が日本人は一番元気そうな気がする。80歳以降もペースを落としながらも講義や研究を続ける大学教授なども元気にみえる。ひとそれぞれの価値観もあるが、24時間365日遊んでいられる状況は人を幸せにしない。日本人の労働に関する価値観を憲法とともによく見つめなおす良い機会と捉えると年金の問題も解決の糸口が見えてくる。

 

参考1 日本経済新聞 勢いづく所得保障論 スペイン導入、米は実証実験

コロナ禍、低所得層の打撃緩和 2020/8/1 23:19[有料会員限定]

参考2 日本経済新聞所得保障「社会の安定回復」 ロンドン大教授に聞く 新型コロナ 経済 ヨーロッパ2020/8/2 1:53[有料会員限定]

コメントを残す